東山紀之著『カワサキ・キッド』を読んで
私、usagiは少年隊ファンであるが、植草氏強めの箱推しであることを最初に断っておく。また、ここにある内容の要約や感想は、個人の考えに基づいている。
本ブログへの中島さんの寄稿を読み『カワサキ・キッド』を読んでみたくなった。多くの少年隊作品と同じようにこの本も正規では手に入らない。地元図書館のサイトで検索したら幸運にも見つけることができた。
この本は2010年6月に発行されている。元になった記事は「週刊朝日」に2009年1月から2010年4月までに連載された「これまでと、これから」である。今から11年前、東山氏が43歳の時、つまり少年隊の3人の活動がなかった時期の出版ということになる。少年隊について、どのように語られているのか。それが私の最大の関心事であった。
本の前後には、この本の出版のために川崎を訪れ撮影されたと思われる写真がカラーで掲載されている。表紙の写真にもあるが、スタイルの良い東山氏が白い上下の服に真っ赤なストールを肩からかけている。真っ赤…ある人を連想してしまうのは私だけではあるまい。
本は、6章で構成されている。
1章は「カワサキ・キッド」。ここでは、この本をなぜ書こうと思ったかが最初に語られ、その後、高校入学までのことが書かれている。裕福ではない家庭に育ったこと、東山氏自身がそれをどのように消化して生きていたかが述べられている。
2章「運命のとびら」では、ジャニーさんとの出会いから、高校入学までの東山氏について語られている。ジャニーさんに渋谷の交差点でスカウトされた話は有名だが、彼がジャニーズ事務所に入ったきっかけは、それだけではなかったようだ。このあたりの詳細は、是非、この本を手に取って確かめてもらいたい。
また、この章には、「ニシキと植草」という節があるが、東山氏から見た2人のことが書かれている。隊ファンとしては真っ先に読みたくなる箇所であり、私も目次で見つけて真っ先にこの部分に目を通した。東山氏が語る錦織氏および植草氏は私たちファンが考えていることと大差はないと思った。
この章で1点だけ、どうしても気になる箇所がある。それは、アメリカで行われた辛い練習の時の話で
ニシキも、あの植草でさえもがんばったのに、僕だけダウンして脱落した
の表現だ。ここは重版の際には「ニシキも、植草も」に修正していただきたい。
3章は「新たな世界で」である。高校から始まるジャニーズの合宿所生活、「夜ヒット」への初出演、時代劇への挑戦など、少年隊のデビュー前から少年隊としての活動があった時期のことが語られている。
ここで気になったのは、東山氏の好きな色が赤ということだ。そうか、表紙にあった赤いストールは、好きな色なのか…。
この章ではまた、10年ぐらい前(2000年頃か)に少年隊のメンバー間で少し距離があったことも語られている。10代から一緒に仕事をしてきて20年も一緒にやってれば齟齬が生じるのは当然であろう。その後は関係が修復されたとあり、私は、解散とならずに済んでよかったと安堵している。
そして、この章では、本全体で私がもっとも注目した一文が出てくる。2008年の最後のPLAYZONE後の植草氏の発言である。
「やっぱり俺ら、少年隊としてのコンサートをこれからもやっていこうよ」
また新しい一ページが始まった。
この植草氏の言葉を掲載し、「新たな一ページが始まった」と結ぶということは東山氏も同じ気持ちだと理解した。反対の気持ちであれば、わざわざ自著に掲載しないであろう。ファンは待つ。それだけだ。
4章の「出会いと別れ」では、これまで付き合いのあった名のある方々との関係について書かれている。芸能界で活躍するにはこうした大物との付き合いは欠かせないのだろうと想像する。
5章「カワサキ・キッド」では、妹のこと、自身のことが書かれている。1人で様々な新しいことに挑戦している東山氏であるが、この時期から取り組んでいるドキュメンタリー番組のナレーションなどは、現在の朝のキャスターの仕事に着実につながっていると思われる。
最後の章である6章は「帰る場所」であり。子供の時代に過ごした場所を今訪れた感想などが書かれて、42歳の東山氏の考えを述べて締めくくられている。
さて、本書はもちろん東山氏の人生を中心に書かれており、東山氏のファンの必読書となっている。しかし、東山氏から少年隊を除くことは不可能であるように、少年隊についても随所で語られており、少年隊ファンとしても興味深い内容となっていた。
現在は正規で入手できない状況にあるが、Kindleなどの電子版で発売してたら、東山氏の考えを多くの人に知ってもらうことができるのではないだろうか。クールで完璧な東山氏の本質を。
少年隊署名活動は、過去の楽曲・映像の配信を目指しているが、少年隊に関連する写真集や本なども電子版でもいいので入手可能になって欲しいと感じた。
終
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