PLAYZONEと私(2)
- はじめに
前回は、あれこれ書いていたらあっという間に2,000字を超えた。
あまり長い文章になると誰も読まないんじゃないか…と思っていたら、
5,000字でも10,000字でもどーんとこい!
というコメントをいただいて、わたくしKaは最近調子に乗っている。
だから今日のも長い。時間のある時にどうぞ。
今回も前回から続いてPZ’86 MYSTERYについてのKaの独断と偏見に満ちた見解(続き)を述べる。今回は、改めて「筋書き」と、この筋書きにちりばめられた三人の個性について語ってみよう。何度も言うが、錦織氏をみて鼻血を流す人間が述べることなので、この見解には著しい偏りがある。しかと留意されたい。
- MYSTERYの物語
今回はそもそもMYSTERYってどんな話やねん?ということから始める。
MYSTERYの物語は、たくさんのファンがブログなどですでにあらすじを紹介されているとおりで、かなりシンプル。
ブロードウェイに憧れてニューヨークにやってきたノリ(東山氏)、ヒデ(かっちゃん)、カズ(錦織氏)の3人。
でも到着早々、お金は取られるし、「マジカル・ミステリー・パパ」とか言うマフィアの大ボスに目をつけられる。
夢は壊れるのか…。
ところが実はマジカル・ミステリー・パパとはマフィアというより奇術師。
どちらかというと、マジック大好きで、不思議なもん発明してる可愛い人。
手下の方が力持ってて怖い。や●ざ屋さんみたい。
マジカル・ミステリー・パパは、妻であるママ・ヴェルサイユと、娘のフェアリー・メリーと三人で、悪の一味に軟禁されている状態。
フェアリー・メリーにはお姉さんである「ハイルクールのララバイ」がいるのだけど、このお姉さんは自由のない軟禁生活から解放されたかったことと、5年前に他界した実の母ママ・メランコリーの面影が忘れられないし、家族の中に居場所を見つけられず2年前に家出した。
状況まとめると、まあまあみんな困ってる。
しかし、なぜ登場人物全員不思議な名前なんだ?
(なんで、全員ことごとく不思議な名前なのか、誰か知ってたら教えてください)
カズ・ヒデ・ノリの3人は、フェアリー・メリーから「お願い、私たち家族を助けて!」と頼られた。助けるヒントは、家出したお姉さんのアパートにあるらしい。
しかもそのアパート、下水道にあるんだとか(臭いんじゃない?)
この迷い込んだ下水道で繰り広げられたのが、前回お話しした「10分間の踊り」なんですね。
三人はララバイに出会い、家族が心配してると伝えるけど、ララバイは「私には家族がいないものだと思ってる」、パパ、ママ、フェアリー・メリーを助ける必要はない、だから三人を助けてなんてあんたたちには頼まないわ、みたいなこと言い出して。
(どんだけ薄情なんじゃ)
三人は、これでいいのか気になるものの、とりあえずダンスのレッスンに行くことにした。でも、後からララバイは自分の誤りを認め「やっぱり三人を助けてほしい」と頼みにくる。
そんなふうに頼られたらならば、彼らは自分の夢は横に置いて、命懸けでパパたちを助けに行くことに。
そして悪の一味とは争いになるものの、なんとかマジカル・ミステリー・パパ発明の不思議な乗り物でNYからの脱出を図る。
どうやらその後、悪の一味は逮捕されてNYには笑顔が戻ったらしい。
よかったよかった。
-
-
-
よかった?
ん?いや、それでほんまによかったのか?
あの三人はブロードウェイで歌と踊りのレッスンするためにNY来たんとちゃうんか?
脱出したらレッスンできひんやん…。
だいたい、ちゃんと無事に東京戻れたのか?
ちょっと不安に思っていたら、第3幕では「ダイヤモンド・アイズ」をキレキレに踊る三人の姿が登場。
(ちなみに、錦織氏はニコリともせずダイヤモンド・アイズを歌って踊る。疲れていたのか、怒っていたのか、それとも、デビューしたてで緊張していると言う設定なのか)
そうか。
きっと悪の一味から逃れた後にちゃんとブロードウェイに戻って、念願のレッスンも受けて、東京に戻って、少年隊としてスターになったんだな。
今見ると本当に可愛らしい物語。
このようなわかりやすい筋書きだったのは、当時の少年隊ファンの年齢層がメインの観客であったと考えると、理解もできる。
- すでに始まっている「役割分担」
筋書きとしては先述した通りシンプルなんだけど、大きく流れているのは、ノリ(東山氏)、ヒデ(かっちゃん)、カズ(錦織氏)が夢を追いかけつつ、困っている人たちを助けつつ、三人が大喧嘩しながらいろんな問題を解決していく成長物語。
そしてことあるごとにこの三人は意見が食い違ったり、途中で歌ったり踊ったり、協力したり結構忙しい。
だいたいは、
キレる東山氏。
仲裁役のかっちゃん。
ボケる錦織氏。
この三人の役割分担は、その後のPZでも引き継がれていくように思う。
それにしても東山氏の啖呵の切れ味の鋭いこと。
オレニフレルト、ヤケドスルゼ、ベイベー、みたいな感じ。
真っ直ぐな意見を言うし、甘えてるような言い訳は嫌いだし、ぐずぐずだらだらも嫌だし、現状を冷静に分析して動こうとする。
さらにララバイに対しては「かわいくねえな、この、●ス!!!」と叫ぶ。
あなた、ちょっと、あまりにも口が悪すぎやしませんか…。
日曜日朝のシュッとした東山氏の今とはだいぶん違う。(どっちも素敵)
でも、あの甘えてるのが嫌だとかぐずぐずだらだらが嫌だ、というセリフは、東山氏の本質を表していたようだ。
かっちゃんは、とにかく可愛い。
かっちゃんはおそらく永遠に可愛いのだろうと思う。
ご本人、「可愛い」と言われることに思うところはあられたようですが
リプみてるとさ、この歳でかわいいって言われるのって…と思う時もあったけど、確かに昔から変わらない部分もあると思うし、俺なりにやってる中でみんなが少しでも元気になったり楽しんでいてくれればSNSはじめた意味もあるし嬉しいしやってよかった。
— 植草克秀/Katsuhide Uekusa (@katsuhideuekusa) 2021年2月28日
いつも見てくれていてありがとう(しみじみw)
でも、若い頃からずーーーーーーーーーっと可愛いんだから、こりゃもうしょうがない。受け入れてください。ぷりーず。
そしてこのMYSTERYでのかっちゃんはかっちゃん史上最も「跳ねてる」のではないだろうか。
踊る時の上下運動が多くて、音に乗ってとってもリズミカル。
P氏(「PLAYZONEと私(1)」参照)に特訓されただけあってキレキレ。
跳ねると髪の毛ふわふわ揺れ動くわかっちゃん。
可愛い、可愛いよ。
そしてお芝居になると、とんがる二人の仲を一生懸命取り持とうとしたり、フェアリー・メアリーに相談されると「ほっとけないよ、助けてやろうよ」と男気を発揮する。
いやあ、かっちゃん。可愛いだけじゃない。
あなた最高ですよ。
錦織氏は前回の「新婚さんいらっしゃい」の場面でも、小ネタを披露して笑いをとっていたが、フェアリー・メリーからの頼みを聞いて「さあどうする?」と言うとき、ノリの意見にもヒデの意見にもどっちつかずな意思表示をする。
そのタイミングの取り方のうまいこと!観客も思わず笑ってしまうし、東山氏も「どっちなの?」と半ば声を裏返しながら尋ねてしまうあのシーン。
とにかく芸が細かい。
さすが「#世界一踊るのが上手い落語家」
(↑これは、全力で褒めている)
しかし。
この三人の役回りを見ていると、ジャニーさんはよくよく三人の個性を理解しておられたのだろうと思う。
『カワサキ・キッド』(2010、朝日新聞出版社)でご本人が明かされたように幼少期にずいぶん苦労を重ねていた東山氏に、家族に対してちょっと甘えてるというか、薄情なことをしているララバイに対して、「わがまま言うな!」と怒鳴らせるとは…。
当時の東山氏は、そんな役回りをどのように理解して演じていたのだろうか。
機会があれば聞いてみたい(そしてそんな機会はない…_| ̄|○)。
そして、かっちゃんの鷹揚で優しい性格を活かして、困っている人をほっとかない設定。二人ともそんなかっちゃんが大好きだから、逃げ遅れるかっちゃんをちゃんと待つ。
いいよ、少年隊。最高だよ。
錦織氏の笑いのセンスも早くにジャニーさんは見抜いておられたのだろう。
本当にすごいよジャニーさん。
前年にレコードデビューを果たした少年隊に、この物語のようにお互いに助け合って支え合って、成長しあって前に進んで欲しい、という想いを込められていたのではないだろうか。
はい、ここでもう3,000字超えてます。ね、長かったでしょ?
この記念すべき第一作目のPZ、少年隊の本質が詰まっている作品だと思う。
そして、これはいろんな人に見てもらいたい。
80年代のきらめき、才能ある若者の汗と努力。
本当にすごい作品。
なんでこれ、一部の人しか見れないの?????
どうかどうか
デジタル配信してください、ぷりーず。
第三回目があるかどうか知りませんが、MYSTERYはいいよ!と言うお話でした。
文責:Ka