少年隊ファン活動

2022年1月31日まで少年隊の音源・映像のデジタル配信を要望する署名活動を行っていました。その活動メンバーを中心に、少年隊への想い、お三方の活動記録などを綴っています。

PLAYZONEと私(10)

皆さん、お元気ですか。Kaでございます。ブログをまとめだしたらやたらと長文になるKaでございます。気がついたら、大好きなPZについて独断と偏った愛を持って語りだしてから10回目となりました。

 

今回は、PZ'90 MASKです。こちらは、PZ第5作目の記念すべきものでした。ただ、この作品は「ハムレット」を始めとするシェイクスピア諸作品を下敷きに、幻想と現実が入り乱れる複雑な作品となっております。ですから、演劇をよく知る方であれば、シェイクスピアの叡智を元に感想・解説をされるでしょう。そしてすでにとっても詳しい解説をネット上でも拝見します。詳しいことはそちらの方がいいかも。私は錦織一清をこよなく愛するただのおばちゃんですので、今回も素人目線、そして「大好きカズキヨ」目線で好き勝手にまとめます。

なお、ネタバレもありますので、注意してください。

 

■ 作品について

私の手元にはPZ'90 MASKのパンフレットがあります(後追いなのになぜ持ってるのかはお察しください)。実はこのパンフレットは、過去のものより分厚く、表紙に「5th Anniversary」と金の文字で書かれている豪華装丁。相当気合が入ったものだったことが伺えます。そして「このすべての衝撃的なミュージカルを今、 SHOW劇と呼ぶ。」とあります。私、SHOW劇って言葉は次の「SHOCK」から使われてたと思ってたんですけれども、MASKからだったんですね。

そして5年目にして初めて、ジャニー喜多川氏のコメントが掲載されています。コメントに「的なミュージカルドラマSHOW劇」とあるのですが、この「衝的」は何か意味が込められていたのか、誤植なのか。いずれにせよ、ジャニーさんも少年隊とともに5年間舞台を作り続けてきて、海外ミュージカルの輸入ではない、日本文化を取り入れた独自の演劇というもののあり方に確信を持たれたのかもしれないな、と感じます。

作・構成・演出はジャニー喜多川。劇中劇のハムレットの演出は蜷川幸雄蜷川氏泣く子も黙る超有名演出かですのでもはや説明はいりませんね。私みたいな素人でも名前は知っておりました。そうそう。私がみているのは35thAnniversary PZ BOX収録のものなのですが、お話に入る前に5年目を振り返る3人のトークや蜷川さんが演出されてる場面が収録されてます。そしてかっちゃんが蜷川さんに

腰、なんでペコペコすんだよ、バカヤロウ!木下藤吉郎じゃねえっつってるだろ💢」と怒られてます(と言っても、蜷川さん笑ってますが)。これ、結構有名なエピソードですよね。

音楽はチャールズ・ストラウス(Charles Strouse)氏。ストラウス氏ってだあれ?と思って検索しましたところ、ミュージカル「アニー」「ゴールデンボーイ」の音楽担当でいらした方のようです。アメリカ演劇界でも権威あるトニー賞をめっちゃ受賞されています。PZ'86 MysteryでもMJの振り付けをしていたマイケル・ピータース氏を招聘してましたが、こんな演劇界の大御所を呼んでこれるって、ジャニーさんの並々ならぬ熱意を感じ、今これをしたためながらワタクシ黒焦げ🔥になっています。

振り付けも名倉加代子氏をはじめ錚々たるメンバー

共演には中尾ミエさん。中尾さんといえば「3人娘」として大活躍されていた、と同時代を生きたうちの母(奇跡の後期高齢者=80近いが目も耳も腰も膝も悪くない強者)がかつて語っておりました。そして、名曲「可愛いベイビー」を知らぬ人はいないでしょう。サブスクあるかな?と探したらありました。

可愛いベイビー Pretty Little Baby

可愛いベイビー Pretty Little Baby

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music.apple.com

今聞くと、めっちゃオシャレに感じる。どうでもいいのですが、中尾さんってスラっとした長身のイメージだったんですがにまさかの身長156cm。「ちびっこランド」(注:約158cm以下の身長の民が集うランド。私が勝手に作った)の住人だった…。

この作品では、少年隊3人は「自分」を演じます。「なんだか恥ずかしいような変な感じがした」と3人は話されてたような。確かに舞台上で「自分」を演じるって、わけわかんなくなりそうですよね。自分なんだけれども、作品の「役」として作られた「自分」を自分が演じる…(はい、こんがらがってきました)。そんな難しいことにもチャレンジしたのが、この作品になります。

ワタクシ、個人的に「ニッキ」と呼ぶと嬉しくて恥ずかしくてじっとしていられなくなるので基本的には「錦織氏」と呼ぶのですが、ここでは頑張ってできるだけ役名である「ニシキ」と表記していきます(すでになんだか恥ずかしい)

 

■ 第一幕

●いくわよ、オープニング!

ミュージカル・Againの千穐楽を迎えた少年隊の3人。ちょうどラストのメドレー(Baby Baby Baby〜Heaven〜Baby Baby Baby)と「See You Again…!」から始まります。バックに忍者くんたちを携えて、めっちゃかっこよく歌い踊ります。ところが途中で、3人が舞台の奥に向かって歌い踊り出します(客席からは3人の背中やお尻を見ることになる。それはそれで趣深い)。すると舞台の奥から客席側に向けて光る照明やら緞帳が見える…。そう。舞台奥が「正面」に、そして実際にお客さんが座る客席側が舞台裏に位置付けが変わるのです。少年隊3人が実際の舞台の奥に向かって三方礼すると舞台の奥で幕が降り、少年隊3人は舞台裏である「こちら側」に降りてくるのです。

しかしまあ、よくこんな構成考えたなあ、と思います。ちょっとした工夫で舞台の表と裏が入れ替わるなんて…。舞台って、ほんとに面白い。

 

●舞台裏での会話

ミュージカルが無事に千秋楽を迎え、みんなで「お疲れさま!」と労っているその時。ニシキがふと「さあ、明日からNYか!」と言います(わたしゃ、錦織氏が赤いローブまとっているから、てっきり入浴行くのかと思ったよ)

そんなことは聞いていなかったヒガシとかっちゃんは驚き、ニシキに「なぜ?どうして?」と問います。ニシキは「働きすぎだよ。このままじゃダメになる。3人一斉に休もうぜ」と言います。確かにデビューしてからの5年は激動だったでしょう。でも休むとかNYとか聞いてない!ヒガシもかっちゃんも「突然『休みたい』なんておかしい。ほんとは何があるの?」と本音を尋ねますがニシキは答えません。

そこへミエさんが登場します。これ幸い!とニシキはミエさんを巻き込み「ミエさんと一緒にNYに行くんだ。ミエさんに惚れられた。というか僕が惚れた。なので二人で一緒に行くんだ」みたいなことを言い出すのです。

ニシキの勝手な行動に、ヒガシとかっちゃんは怒ってしまいます。これからも3人で頑張ろうって思ってたのに、なんだよあれは💢 

 

●「星の見えない夜

一人になったニシキは「星も見えない夜」を歌います。

すべてを打ち明け寄り添いたいのに

君の笑顔が道をふさぐ

いつかわかってくれるときをじっと待つさ

Crying in the night

どうやら、ニシキは何か苦悩しているようです…。

ミエさんは、本音を語らない錦を見て「言えない悩みがあるのだろうけれど、思い切ってNYへいってらっしゃい」と背中を押します。そして「星も見えない夜」を続け歌います。

誰にも言えない胸の痛みは

朝の光は届かないわ

いつかわかってくれる時がきっと来るわ

Crying in the night

ミエさんの歌う歌詞は、ニシキの苦悩に対する「応答」になってるんですね。こういうのも、私好きなんですよ。舞台、そしてミュージカルならではの工夫だなあ、と胸が熱くなります。

 

ところでいつもの通り話が脱線しますが、この「星も見えない夜」はDVDとMASKのサントラで歌詞が違います。上記が舞台上で歌われたもの。でもサントラには「すべてを投げ捨て逃げ出したいのに」となっています。収録した後に、演出変わって歌詞も変更したんですかね…?

 

●NYへ飛び立つ錦織氏

ニシキはミエさんの応援を聴きながら、ロッカーでジャケットを着てNYへ出発する準備をします。が!その時、ロッカーからショッカー、じゃなくてロッカーから血まみれの白衣を着たドクターたちが突然現れ、声を揃えてこう言います。

いつ心臓が止まっても不思議ではありません

治る見込みもないでしょう

長くて6ヶ月、もしかすると3ヶ月の命かもしれません

ニシキはこの血まみれの白衣に身を包まれた人たちに担がれて身動きできなくなります。この担がれ方がなんと言いますか、ニシキが飛行機に乗ってる感じを醸し出すのです。なぜかと言いますと、ニシキが両手を広げてうつ伏せ+頭は客席を向いた状態、で担がれるのですね。そして血まみれの医師たちがニシキを上下させながら、舞台奥へと旅立っていくのです。その時、飛行機のジェット音が聞こえます。

これがテレビや映画なら、実際の空港で、ニシキが搭乗ゲートへ消えていく姿、みたいなのを描くと思うんですが、ここは舞台。空港も飛行機も出さずに、NYへ飛び立つ様子を描きます。演出ってすごい。

でも、いつ心臓が止まっても不思議ではありませんって怖い。ニシキは、具合が悪いのでしょうか…。

 

●残されたヒガシとかっちゃん

二人とも身勝手なニシキに憤りを感じつつも「なんだか様子が変だった」と違和感を覚えています。どこまで本音だったのか?誤解してたのかな?いやでもあれが本音だったのかも…。ヒガシは「もう少し考えて見たい」、かっちゃんは「一日も早く忘れたい」とニシキに対する対照的な思いを語ります。

そしてかっちゃんは、

赤ん坊が生まれると「おめでとう」

人生の終わりは「お疲れ様」

妙に対照的な言葉。今夜はどっちだろう、なんか疲れちゃったな、とつぶやきます。

こりゃまた意味深な言葉。どういうことなんでしょう。

 

ヒガシは気持ちを整理して、蜷川さん演出「ハムレット」のリハーサルが朝からあるからと、帰ろうとします。その時かっちゃんは飲めないのに「人生が薔薇色になるウィスキー」をラッパ飲み。こりゃ完全にやけ酒ですね。「無理するな、とにかく俺は帰る」というヒガシに「これで終わりだな、俺たち」とつぶやくかっちゃん。

ああ、辛い。これは辛いよ。

ジャニーさん、なんでこんなセリフかっちゃんに言わせたのよ💢

 

●かっちゃんと錦織氏、入れ替わる

酔ったかっちゃんはベッドに横たわります。その時雷鳴が鳴り響き、ベッドのあるお部屋の壁の肖像画から錦織氏が登場します。そしてバックダンサーを伴って、不穏な音楽とともに踊り出します。なんか魔術師(いや、PZ'88 カプリッチョの「悪魔くん」のような姿)っぽいです。そしてマスクをつけた人たちとかっちゃんを取り囲みます。マスクの人達がベッドで寝ているかっちゃんの上にシーツを広げ、このシーツに覆われたかっちゃんは空中に浮かび上がります。そこで魔術師・ニシキがこのシーツを手に取り頭からすっぽり被ったかと思うと、空中に浮いていたはずのかっちゃんが、そのシーツの下から出てくるのです!

いやもう、びっくり!

いつの間に入れ替わったんでしょうか。生で舞台を見ていたお客さん、絶対びっくりしたと思います。そして、この魔術師・ニシキの華麗なこと!!!ちょっと怖いけど、美しい。この両面を醸し出す錦織氏にゾクゾクします。

 

そして、一人舞台に立つかっちゃんに不気味な笑い声が聞こえます。かっちゃんはこう言います。

人間は眠れば夢を見る

もしかすると 俺は夢を見ているのかもしれない

永遠の眠りについたのかもしれない

これは悪夢なのか 迷いなのか

俺は夢の中を彷徨う旅人のようだ

ただ何かを求めて彷徨っている

もしもこれが夢なら覚めればいい

 

このセリフも、なんだか意味深…。そう。この辺りからのセリフには「」と「眠り」がたくさん出てくるのです。

 

そして次の場面ではヒガチのお顔が「能面」のような形(髪の毛の部分は切り取った形)で、舞台に浮かび上がります。これどういう手技なんでしょうね。プロジェクト・マッピングみたいなもん???そしてこの「能面ヒガチ」が喋り出します。

全世界の1つの舞台

人間はそこで動き回る役者にすぎない

それぞれ登場と退場があって

ただ、与えられた役割を演じているだけ…

実はこのヒガシのセリフはとても長いので端折りますが、どうもセリフの中にシェイクスピア劇の言葉が散りばめられているようです。でも残学なワタクシにはどこがどうなのかよくわかりません。でもシェイクスピアって、人間の裏も表も描いた人。すごく哲学的なセリフですよね。

このセリフが終わると…、いよいよあの、伝説のアレ。

「千年メドレー」が始まります。

 

●千年メドレー:爆発するヒガチ

千年メドレーを細く描写しようとしたのですが、ワタクシ諦めました。あれはどんなに言葉を尽くしても文字では表現できない…。とにかく素晴らしいのです。

千年メドレーは「千年の夢〜Ever Dream〜ALL THE WORLD IS A STAGE」で構成されているようです。こちらもサントラ盤(「千年の季節〜Ever Dream〜ALL THE WORLD IS A STAGE」)と編成が異なります。また、35th Anniversary BEST限定版収録は「Ever Dream〜ALL THE WORLD IS A STAGE」の短いバージョンです。

千年メドレー、奥深いぜ。

ヒガチは最初、お着物+お面をつけて登場します。お面を一枚、一枚剥がしながら歌い踊るヒガチを、人情浄瑠璃が眺めてます。舞台装置の下では、能面をつけた芸者さんみたいな人が踊ってます。なんだか和と洋が融合した不思議な雰囲気。そして黒人バックダンサーさんの素晴らしいキレキレの踊りに引けを取らない、リズミカルなヒガチ。ホントニステキ!!!かっこいいよ、ヒガチ!もう、とにかく爆発してるよ🔥!

でもですね、このメドレーの後半、左手の奥の隅にどえらいリズミカルでしなやかでバネのあるステップ踏むバックダンサーがいるんですよ。お面つけてるので顔がわかりません。でもあんまり見事なステップなので目を凝らしてみると…

これ、錦織一清やんけ!!!

きゃー、カメラさん、もっと引いて!もっと左写して!と叫んだのは私だけではないでしょう。

そして右手にはこれまたリズミカルに踊るかっちゃん。うわー、カズキヨとかっちゃんをバックにヒガチが踊る…。すごい。すごいかっこいい!!!千年メドレーを見始めますと、全体を見る→ヒガチ見るかっちゃん見るカズキヨ見る→再び全体を見る=少なくとも5回は見ることになります。みなさん、注意しましょう。

 

●劇中劇「ハムレット

メドレーが終わると、ヒガチ汗ぼとぼと。バケツで水被ったようです。そして大きく肩で息をしています。すごい運動量ですもんね…。

バックダンサーたちは仮面を脱ぎ捨ててお互いに「お疲れ様!」と言い合います。どうやらこのダンスメドレーは蜷川さんの舞台だったようです。ヒガシはバックダンサーの中にニシキの姿を見つけて思わず「ニシキ!」と呼び掛けます。でもニシキはNYのはず…。このバックダンサーたちの中にはかっちゃんもいました。

ヒガシはかっちゃんに「最近よくニシキの夢を見るんだ。夢の中まで俺を悩ませる」と打ち明けます。かっちゃんは「もう、済んだことじゃないか。3人でやっていた時代は終わったこと」とヒガシを慰めます。

そこへ蜷川さんの声が入り、「ハムレット」のリハーサルに入ります。ここからが「劇中劇」の始まりです。が、さすが蜷川ハムレット。先王ハムレットの亡霊(=錦織氏)の御衣装は平安貴族のような美しいお着物。そしてこの場面のセリフでも「夢」と「眠り」が登場します。

エルシノアの城壁に現れる先王ハムレットの亡霊に会いに友人・ホレイショー(=かっちゃん)とともに城壁に来たハムレット(=ヒガチ)。先王ハムレットの亡霊の「裏切り者に死を!」という言葉を聞いて、ハムレットは復讐に狂います。しかし、ホレイショーは冷静に「何者だ!仮面をとれ!顔を見せろ!」と亡霊に叫びます。亡霊は仮面を取りますが、そこに現れたのはニシキ…。

二人は思わず「ニシキ…」と呼び掛けます。

ニシキ、もとい、亡霊は「誓え、復讐を!裏切り者に死を!その胸に剣を!」と大きな声で二人に叫びます。

裏切り者に死を!

その胸に剣を!

亡霊の正体を見たホレイショー(=かっちゃん)は亡霊(=ニシキ)に亡霊と同じ台詞を叫びながらナイフを突き刺してしまいました。

ああ、大事なニシキを、大事なかっちゃんが殺してしまった。

ヒガシは叫びます。

ニシキ! 植草! 

夢だ、これは悪夢だ!

 

ここで第一幕が閉じました。

 

●本日のまとめ

PZ' MASKは、確か少年隊の3人も思い出深い作品として挙げていたと思うんですが、まさしくPLAYZONEの代表作の1つかと思います。シェイクスピア作品の言葉を散りばめながら組み込まれる「伏線」。幻想と現実が入り混じりながら進展するストーリー。ジャニーズでの踊りの代表作でもある「千年メドレー」。舞台装置や踊りを駆使した場面展開。和と洋の融合。

少年隊の作品としてだけでなく、日本オリジナルミュージカルとして、踊りの作品として、多くの人に見てもらいたい。舞台作品の面白さを詰め込んだ玉手箱のような作品だと思います。

千年メドレーもいろんなバージョンがありますし、ジャニーズの後輩くんたちもご披露されてきたと聞いています。できれば、この作品、ジャニーズの後輩くんたちで再演とかできないでしょうかね…。

で、いつもの通り最後に叫びますが、

なんでこれDVD売ってないの?

デジタル配信ないの?

ジャニーズ最高傑作と言われる少年隊の作品やで?

お願いだから、なんとかして、これ、いろんな人が見られるようにしてください。

ぷりーず!

 

文責:Ka