PLAYZONEと私(11)
皆さん、こんにちわ。Kaです。10月です。金木犀の香りが漂う良い季節となりましたね。ようやくPZ'90 MASK後半をまとめようとしました。でも、また文字数がすごいことに。ですので今回は第二幕を中心にまとめようかなと思います。
前回は第一幕の様子を、いつも通り偏った愛と独断でまとめてました。
第一幕は、かの有名な「千年メドレー」でヒガチが爆発してたり、バックダンサーの錦織氏とかっちゃんがノリノリだったり、素敵な場面いっぱいでしたね。
でも物語の中では、ニシキがかっちゃんとヒガシを置いてニューヨークに行ってしまいます。残された二人は日本で自分たちのできることを最大限に頑張ることに。そんな中、蜷川さん演出の「ハムレット」の幕が開けます。ところが、ハムレット(=ヒガシ)の目の前で、ホレイショー(=かっちゃん)がハムレットの父の亡霊(=ニシキ)をナイフで刺してしまうのです。
大事なニシキを、大事なかっちゃんが殺してしまい
ニシキ! 植草!
夢だ、これは悪夢だ!
というヒガシの叫びで第一幕が閉じました。
いったいぜんたい、これはどういうことなのでしょう?
ヒガシの夢?
それとも、少年隊の3人が直面する現実なのでしょうか…?
あるいは現実に抗って、ヒガシは「悪夢だ!」と叫んでいるのでしょうか…。
夢か現実かよくわからないままに、物語は第二幕に入っていきます。
と言うことで、お話どんどん進めていきましょう。今回も盛大にネタバレしていきますので、ご注意ください。
■ 第二幕
● 華麗な「半年メドレー」!
場面変わって、どうやらここはニューヨーク。
ニシキが緑のジャケット+白パンツという爽やかな出立ちで床にゴロンと寝転がっています。お休み中だったのでしょうか。そして「The Night in New York」伸びやかな声で歌いながら起き上がります。
光る朝の風 冷たさを乗せ 悲しみを溶かし
目覚めてく 摩天楼
遠い日の夢 握りしめて
ニューヨークの街 立ち尽くす今
どうやら、ニューヨークの街に朝日が登り摩天楼を照らし出したようです。(ちなみにこの曲、MASKのサントラにも35th Anniversary BESTにも収録されてませんのよ…💢)
ニシキは「くそ、俺ニューヨークまできて一体何やってんだ!」と苛立っています。 慣れない土地で暮らすこと、ミュージカルに出演すること。きっとそれはそれは大変で、日本にいる時とはずいぶん様子も違うのでしょう。でも朝日が登ると共に何かを吹っ切ったようで「ま、ジメジメしてても始まらねえか…」と呟きます。
ブロードウェイのミュージカルに出演するのを目指して、たくさんの仲間達と切磋琢磨するニシキ。その様子が「Hello Broadway」「Let’s Go To Tokyo」に合わせて繰り広げられます。若者たちとの群舞がとにかく華麗です。なんと言いますか、ヒガチの爆発ダンスとは雰囲気が異なり、ジャズダンスモリモリです。曲中では靴を履き替えてタップダンスでも軽やかにステップ踏みます。
そしてこの間、錦織氏はずっとSMILE。
華麗な踊りなのであまり気づきませんが、このメドレーは結構ハードな振り付けで構成されています。体力的に大変だと思うのですが、とにかく爽やかに微笑みながら、軽やかに踊り歌うのです。
んもう、超絶かっこいいよ!(また、アタイの鼻血が噴き出るよ!)
ところが途中で舞台が暗転し、不穏な雰囲気が漂う中で「Fight!」が始まります。「Fight!」ってどんな曲?と皆さん不思議に思いますね。こちらもサントラにすら収録されておりません。それもそのはず。アレンジこそされていますがこれは「West Side Story」の名曲メドレー。
最初の出だしがまさしくこれ。他にもかの有名な「Mambo」も入ってます。
「Fight!」のメロディーが始まると、緑のジャケットを脱いでギャングっぽい姿になり、自分のチームを率いて踊り出すニシキ。すると向こうから別のチームとヒガシが出てきます。ヒガシの姿を見てハッとするニシキ。日本にいるはずなのに、どうしてヒガシがニューヨークにいるのでしょう…?
そして、始まる「West Side Story対決」。ニシキとヒガシの息がピッタリ合ってアクロバティックな振り付けを華麗に披露していきます。バックダンサーの皆さんもめちゃんこクールでかっこいいです。ミエさんも、ヒガシチームのメンバーとして踊っています。その時、ヒガシがナイフ持ってニシキに向かってきて、ちょいと喧嘩みたいになります。なんとかニシキがヒガシのナイフを奪い取ると、ヒガシもチームのメンバーたちも舞台からはけていきます。
そして一人残ったニシキは再び、「The Night in New York」を歌います。この場面、錦織氏的には「ニューヨークに来て半年ほど経過したぐらいの時期」という設定だったみたい。かつてこれを「半年メドレー」と名付けてましたね。
歌い終わるとタオルを受け取り汗を拭くニシキ。どうやらこのメドレーは、ミュージカルの一場面だったようです。舞台演出だか監督さんから「めっちゃええやん、ニシキ!(注:英語で)」と褒められて、「Thank you!」と笑顔で返すニシキ。
そうしていると舞台裏にヒガシがやってきました。ヒガシを見てニシキは思わず「今、共演者の顔が一瞬ヒガシに見えたよ」と声をかけます。どうやら「Fight!」で登場したヒガシはニシキのみた幻想だったようです。
一方、ヒガシも「俺もよくお前の幻を見る」と言います。ということは、あのハムレットに登場した父の亡霊(=ニシキ)もヒガシがみた幻想だったのか…?
兎にも角にも、突然やってきたヒガシにニシキは「何かあったのか?」と尋ねます。一緒にいなくても、この二人はいつもお互いを意識してるようですね…。
すると、救急車のサイレンが鳴り響く中で場面が変わり、かっちゃんがブランコで登場します!そして、ブランコに揺られながら「Believe」を歌います。それにしても、
こんなにブランコが似合うのは、かっちゃんしかいない!
かっこいいのに可愛いって、なんなんでしょうね?
それはともかく、ブランコかっちゃんの後ろにはベッドがあり、その横に看護師さん立っています。そのうち、血まみれのドクターたちもベッド周りに集まり出しました。
そして、あの声が響きます。
いつ心臓が止まっても不思議ではありません
治る見込みもないでしょう
長くて6ヶ月、もしかすると3ヶ月の命かもしれません
病気だったのは、なんと、
かっちゃんだったのです…。
● 美しい「仲直りダンス」
場面が変わり、再びニューヨークの舞台裏に戻ります。
ヒガシは汗を拭き拭きするニシキに「よかったじゃないか、ブロードウェイのミュージカルに立てて」と声をかけました。ニシキは「ところで植草はどうしてる?どうせなら、二人一緒にくればよかったじゃないか」とヒガシに言います。
でも、ヒガシはわかっていました。
「ニシキ、もういいんだ。何もかもわかったんだ。お前知ってたんだろ?植草の病気のこと。それであいつを休ませようと思って、俺たちに嘘をついてニューヨークへ来た。ミエさんの話も嘘なんだろ?」と静かにニシキに語りかけます。
ニシキの楽屋で、二人は話し続けます。
かっちゃんの具合はとても悪いようです。
ヒガシは飛行機のチケットを取り出し「二人で日本に戻ろう。ちょうど三人でミュージカルをやらないかという話がある。植草の望み通りにあいつを舞台に立せてやろう。植草の最後の望みを二人で叶えてやろう」とすがるように言いました。
けれどもニシキは「悪いけど俺は帰らない」とヒガシの頼みを断ります。ヒガシはここにきてもわがままを通そうとするニシキに「お前が一人でニューヨークに来て一番傷ついてるのは植草なんだぞ💢」と怒ります。
すると、ニシキは「植草は精一杯俺のことを恨めばいいさ。それが生きる糧になってくれりゃあ、それが一番いいんじゃないか」と呟くのです。そしてヒガシが持ってきた飛行機のチケットを手にして「お前のこの優しさだってな、俺から見れば残酷なもんだ」とまで言うのです。
ちょいと!
それはずいぶんひどいじゃないの!
なんでそんなこと言うのさ、カズキヨ💢!
私が心の中で怒ったと同時にヒガシも「残酷?それを言うんだったらニューヨークへ逃げたお前の方がよっぽど残酷じゃないのか!」と怒鳴ります。
どうやっても帰ろうとしないニシキ。さらには「もうお前とは話したくない。帰ってくれ」とまでヒガシに言うのです。呆れ果てたヒガシは「見損なったぜ、ニシキのこと」と吐き捨てるように言います。
それを聞いたニシキは思わず「勝手なことばかり言うな!」とヒガシを殴りつけました。ヒガシもニシキを殴り返そうとしましたが、手を止めます。そして「わかるだろ?あいつがたった一日でもいいから3人で舞台に立ちたいって。あいつにはわずかな時間しか残されていないんだ」と諭すようにニシキに言います。
それに対してニシキは「でも、でも俺は帰らないよ。植草に一日でも長く生きていて欲しいんだ。ミュージカルだけが、3人で同じ舞台に立つことだけが全てじゃないだろ」と言い返します。
どうやっても二人は分かり合えない。
もどかしい会話の終わりに、ヒガシは「なんか、あっけない幕切れだな」と言います。それを受けてニシキは「ああ、そんなもんさ。あっけなくて、そっけなくて、数多くの悲劇とほんの少しの喜劇とでできているもの それが俺たちの人生なんだ」と、何かを悟ったように言います。
ああ、こんなにあっけなく別れ別れになるのか。
そしてどうして、かっちゃんを助けられないのか…。
分かり合えないモヤモヤする気持ちの中、ヒガシが「どうして植草だけがこんな目に遭わなきゃいけないんだ。俺、なんだってする。それであいつの命が助かるなら」と悔しさを絞り出すように言葉を発します。
するとニシキも「俺だって、俺だってなんだってしてやるさ。それであいつが、植草が一日でも長く生きていてくれるなら」と呟くのです。
ああ、かっちゃん。
あなた二人からめっちゃ愛されてるわよ。
そう。二人ともかっちゃんを大切に思うからこその言葉と行動だったのです。
かっちゃんの最後の夢を叶えるためにミュージカルをやろうと思ったヒガシ。
かっちゃんに一日でも長く生きていてほしいから、無理をさせないために少年隊の活動を止めようとしたニシキ。
お互いの本心がわかった二人は、思いを叫ぶように踊り始めます。こちらの踊り、ワタクシ「仲直りダンス」と呼んでおります。ニシキを追うようにヒガシが同じ振り付けで踊りだす。まるで「踊る「森のクマさん」」。そして途中で二人の振り付けが揃います。この二人揃った踊りは「しなやかさと力強さの共演」。同じ振り付けなのに二人の個性がそれぞれ輝いて、でも一つの表現になっていくのです。ほんまに素敵です。
どうやら、踊る間に二人はお互いを理解し合ったようでした。
「それじゃあ、日本に戻る」と笑顔でいうヒガシ。(この笑顔の愛くるしさに、ワタクシ身悶えしました。ヒガチが「少年隊の末っ子」と呼ばれて愛される所以を見ました)
ニシキは「あいつによろしく言ってくれ」と笑顔で返事します。(この時にカズキヨは、ただただひたすら美しい。私の心はこの笑顔で根こそぎ奪われて行きました。カズキヨが私の心を受け止めたかは不明ですが)ヒガシは「相変わらずだったって伝えておこう」と微笑みますがニシキは「なんだよ。もう少し色をつけろよ」と文句を言います。
すると、まさかの、
「それじゃあ、相変わらず色白だった(と、かっちゃんに伝えるよ)」とヒガシが真顔で言い出すのです。それを聞いたニシキは固まり「真面目な顔してふざけるな、ちょと変だぞ」と指摘します。(これ、台本通りだったのかしら…会場も大笑い。だってカズキヨ、SK●使ってるかの如く色白ですもんね)
「かっちゃんにどう伝えるかは飛行機で考えておく(=つまりニシキには内緒)」と言うヒガシにニシキは「好きになれねえな」と呟きます。
でも、ちょっとハニカミながらヒガシが言うのです。
「俺は…好きだ!」
俺は…好きだ!
好きだ…!
好きだ…!
と私の脳裏にヒガチの声がこだまする…。
可愛い!可愛いよ!ヒガシ!
まさかのヒガシからの愛の告白に目を白黒させるニシキ。狼狽えながら、
「おう…、お、俺もだ」となんとか返事しました。
なんやねん!
結局あんたら二人とも両思いやんけ!
(二人の相思相愛っぷりにジェラシーを感じ、ハンカチ咥えて涙したのは私)
ヒガシはニシキの想いを受け止め、「今度のミュージカルは俺一人でやる」と宣言し日本に戻って行きました。ニシキは、その姿を見送りながら自分はニューヨークで頑張ろう、と決意するのでした。
● 自分の「死」を知るかっちゃん
場面がまた変わり、ベッドの上でパジャマ姿のかっちゃんが関西弁で台本を読んでいます。セリフに「お初」「徳兵衛」という名前が出てくるので「曽根崎心中」の台本のようです。
そして、我ながら自分のセリフの読み上げに感心したようで「なんだ、なんだ。俺できるじゃないか。今まで3枚目やってたの、あれ大きな間違いじゃないか?俺やっぱり2枚目が向いてるのかな?」と笑顔になります。
そして「Super Star」を歌い出します。
これは、かっちゃんの代表的なソロ曲ですね!サテン生地のパジャマとスリッパなのに、かっちゃの踊りが華麗です。
かっちゃん!
あなたはほんまにSuper Starだよ!
そうこうしていると、病室のドアを叩く音がします。ヒガシがかっちゃんのお見舞いに来たようです。かっちゃんはヒガシを驚かそうと、ドアの影に隠れました。
病室に入ってきたのはミエさんとヒガシ。姿の見えないかっちゃんにヒガシは「あいつ、どこ行っちゃたんだこんな時に…」と訝しみます。一緒にやってきたミエさんがヒガシにかっちゃんの病状を尋ねました。ヒガシは「いつ心臓が止まってもおかしくないって。もう助からないんです、植草は!あいつ、病気のこと何も知らないまま、死んでいくんだ…」と叫び、部屋を飛び出してしまいました。その後を追うミエさん。
病室のドアが閉まると、その影から仮面をつけたかっちゃんの姿が現れます。ヒガシをびっくりさせようとしたのに、いったい今の会話はなんだったんだ…。そしてかっちゃんの顔から仮面が落ちると、かっちゃんは笑ってるのか泣いているのかわからない、呆然とした表情になっていました。
「いつ心臓が止まってもおかしくない…?」
混乱するかっちゃん。
「最後の最後になって、ひとりぼっち。ニシキ!ヒガシ!俺、俺…、死にたくない…。もっと歌いたいよ!」とかっちゃんは泣き叫びます。
ああ、なんでこんなことになっちゃうの。
なんでかっちゃんがこんな悲しい目に遭うの?
どうしてニシキもヒガシも苦しまなくちゃいけないの?
ちょっと、ジャニーさん!
あんた、どうしてこんな悲しい脚本書いたのさ💢
● それぞれの道で前を向いて進んでいこうとする二人
また場面が変わり、ライトが煌めく華やかな舞台でニシキが「Let’s go to Tokyo」に合わせて踊っています。どうやらブロードウェイの舞台でバックダンサーとして踊っているようです。
一方、ヒガシは日本に戻り「一体、俺に何ができる?」と自問自答します。
もしもこれが芝居なら、幕が降りた瞬間に全てが束の間の夢でおわる
これが芝居なら救いようのない悲劇を喜劇に塗り替えることもできる
それなのに俺はただ、この大芝居の幕切れを見物しているだけ
ヒガシは、この大芝居の成り行きを見守ることしかできないのでしょうか…。
【今回のまとめ】
半年メドレーでのカズキヨの華麗さに心奪われつつ、ジャニーさんの執念のような「West Side Story」へのこだわりを感じつつ、第二幕までは心が折れそうになる物語が続きました。初めて見た時には「どうして、どうしてこんなに悲しい物語が5年目の記念作品になってるの!」と泣き叫ぶ気持ちでした。
その一方で、少年隊3人の個性がそれぞれの場面で発揮されていて、練りに練られた構成に呆気にとられてました。物語と踊りなどの見どころが、そして夢や幻想と現実が、とても丹念に丁寧に折り重なっているのです。また、カズキヨとヒガチの踊りは全然タイプが異なるのですが、二人がコラボするとまるで光合成によって酸素が生み出されるかの如く、爽やかで美しいシーンが形成されていました。
私は他のジャニーズの皆さんの舞台は見たことがなく。そのため、他の舞台との比較はできないのですが、このPZ'90 MASKは少年隊のアイドルとしての個性だけでなく、一つの舞台作品として本当に完成度が高い作品になっていると思います。演者だけでなく裏方も含めた関係者の皆さん全員が、質の高い面白いオリジナル作品を本気で作り上げようとしていた熱気が伝わってくるのです。
私は、コロナ禍で引きこもりがちな生活になって、こうした舞台作品の面白さに出会いました。映画もテレビもいいけれど、舞台作品はまた別の楽しさがあります。本当は劇場に足を運んで、演者の皆さんと同じ空間で観るのが、舞台を楽しむ最も素晴らしい観賞方法だと思います。その一方で、優れた作品は、劇場にどうしても足を運べない人たちや、時を超えて後の世の世代の人にも見てもらいたい、と思うのです。そのためにはDVD化やデジタル配信は、欠かせないと信じてます。
ですので、毎度の締めは「なんで、これをみんなが見られないんじゃい💢!」という怒りになるのですが、少年隊のPLAYZONEは演劇作品として本当に美しいものだと思うので、デジタル配信して、みんなで見たいです。
お願い、どうにか、なんとか、デジタル配信ぷりーず。
もしまだの方、あるいはお友達や家族に協力頼めるわ!という方、ぜひこちらから、署名もお願いいたしまする。
文責:Ka