少年隊ファン活動

2022年1月31日まで少年隊の音源・映像のデジタル配信を要望する署名活動を行っていました。その活動メンバーを中心に、少年隊への想い、お三方の活動記録などを綴っています。

PLAYZONEと私(7)

8月といえばお盆休みですね。しかし、そもそもお盆とはなんぞや?

 「お盆は一般に7月または8月の13日から15日(16日)ですが、地方により多少の違いが見られます。初日である13日に、先立たれた方のみ霊(たま)が戻ってこられるとされます。そのお迎えの方法が「迎え火」です。(中略)迎え火は帰ってくるご先祖さまが迷わないための目印、送り火はお浄土にお戻りになるのを見守るためといわれています」

お盆の準備と迎え方 | 浄土宗【公式WEBサイト】

 

我がまち京都では、8月16日に五山送り火があります。今年はコロナ禍で規模を縮小して実施されるようです。

ja.kyoto.travel

 

さて、なぜこんなことを書いたのかと言いますと、PLAYZONE ’89 Againは、生と死を考える題材になっているからです。

人生は一度きり。

さて、このPZ’89 Againを通して少年隊の3人は私たちに何を語りかけるのでしょうか。

 

なお、いつも通り先にお伝えしておきますが、以下にご注意ください。

  • ネタバレします
  • 錦織一清をベタ褒めします(特に今回はひどい)
  • 長文です(7000字超えた)

 

■ケン、間違って天国に

ケン(かっちゃん)は、ライブハウスでかっこよく歌うロック歌手。幕が上がっていきなりノリノリで「ケンのロックンロール(仮題)」を歌いだします。なぜ歌の題名に「仮題」とついているのか理由はわかりません。パンフレットにそう書いてありました。とにかく、ギンギンにカッコよく「天にも昇る気分」で歌っていたのです。

 

ところが。

カッコよく歌っている最中にケンは倒れてしまいます。

そして同時に近くで交通事故がありました。

 

ケンが意識を取り戻すと、見たこともない場所にいます。

 

白い雲の中に、若者が数人歩いています。このもの達は天使様のようです。

どうやらケンは死んでしまったらしい…。

 

なぜ?どうして?死んだってどういうこと?

 

謎だらけのケンに大天使は「君の死因は、ここんところ急増している交通事故だ!」と言います。でもケンはさっきまでライブハウスでギンギンに歌っていた。交通事故に遭うはずがない。

 

どうしてこうなった?

 

天使様達は「なぜケンが天国に来たのか」調査しました。

すると、なんということでしょう。

ケンが倒れたのと同時に起こった交通事故。その事故で亡くなった人が天国に来るはずだったのに、なぜか間違いが起こり、死ぬ予定じゃなかったケンが天国に到着してしまっていました。

間違いはやばい。かといって死んだ人を生き返らせるのもやばい。

仕方ないのでGOD様(神様ですね)は「この者をAgainシステムで復活させよう」とケンが生き返ることを許可してくれました。

 

Againシステムでは、誰か他の人の体を使って人間の世界に戻ることができるようです。ところがちょうど今使えるのは、女の子の体…。大天使は女の子の命の炎を灯した蝋燭を見せてくれます。なんかぼんやりしていて、元気がなさそうです。

 

なんでやねん、間違って死んだ挙句、女の子になって下界に戻されるんかい。ほんまやってられへんで💢(注:標準語でお話しされてました)ケンは「Oh My God!」を歌いながら「何が何だかわからん」と文句言います。

 

そんなケンに構わず大天使は言います。

 

君にはある使命が与えられる。

その使命を全うすれば、GOD様は永遠の命と若さを授けてくれる。

 

その使命とはGOD様の代理人として、出会った人間達の悩みを取り除き、生きる意味を見つけること。それができなければGOD様との約束は無効、たちまち天国に逆戻りになる。

 

んなメチャクチャな…とケンは憤りますが、それしか方法がないので仕方なく受け入れることにしました。ほんまどないなるねん…とドキドキしながらも、ケンはAgainシステムを使って下界におります。

 

■「ぜ!」な東山氏、再び

舞台は変わり、マミーが経営するレストラン。

このマミー。大変面倒見の良い方のようで、実の親にも捨てられていくアテのない若者達を雇ってくれています。

ええ人やないか、マミー。

そしてこのいくアテのない若者達のなかにジョー(東山氏)がいました。

ジョーは真面目でよく働く口数の少ない青年です。そして、他の若者達は少年忍者の皆さん。Twitterでかっちゃんへの深く暑苦しい愛を叫ぶ高木延秀さんもご登場。

 

そんなこんなしてると、女の子の魂を借りて下界に降りてきたケンが「ほんでここ、どこやねん…」と言いながらマミーの店に降り立ちました(注:標準語でお話しされてました)。ケンは、観客からは「かっちゃん」の姿に見えますが、ジョーたちには女の子の姿に見えるようです。

 

女の子が目の前に現れたと言うのに、ぶっきらぼうなジョー。

紫色のつなぎを着て、コカ・コーラの空き瓶の数をチェックする姿がかっこいい。女の子って、こういう硬派なやつに惚れるんですよね…。

 

ケン自身の意思に反して、ケンはジョーに釘付けになってしまいます。

なんで俺、こいつを見つめてしまうのか。

どうやらお借りしている体の持ち主である女の子がジョーを意識しているようです。きっと女の子は面食いだったかヒガチのファンだったのか…。

 

でもジョーは「君に特別な興味はない」とニベもない態度。

ああ、ひどい。

男前ってこれだから嫌なのよ💢。

 

ケンは自分の外見が女の子だと頭では理解できますが、なんせ鏡がないからどんな姿かわからん。それで思わずジョーに「私どんなふうにみえる?」なんて聞いちゃうのです。ジョーは「素敵だよ」とぶっきらぼうに返事し、ケンはそれを聞いてちょっと安心。

 

でも「私どんなふうにみえる?」なんて可愛い女の子に言われたら、きっとジョーも内心ドキドキ✨したはず(男になったことないから、知らんけど…。でも相手はあのかっちゃんですからね!)

 

そこへ、メガネ+白いスーツ姿のなんだかえらいお金持ちそうなかっこいい坊ちゃんが登場します。これがリュウ(錦織氏)。そしてケン(=女の子)を見るなり「退院したんですか!よかった」と声をかけてきます。なんでも女の子が入院中に病室でお花を活ける姿をずっと眺めていたそうなのです(ちょっとストーカーっぽい…)

 

そしてリュウは「退院のお祝いに、僕と一緒にお茶でも」と女の子(=ケン)を誘います。さらに「僕はこの辺の不良とは性質、種類、血統、まるで違います!」とか言いながら自己アピールしてきます。しかしその間ずっと傘を振り回してたり飛び跳ねたり歩き回ったり、ダジャレをいったりして落ち着きがありません。その様子はかっこいいとかキザとかよりも、スネ夫のいやらしさを5倍増しにしたような感じ。

 

女の子(=ケン)にモーションかけまくりのリュウを影で眺めていたジョーは「お前、とっとと消えろ」とうざそうに声をかけます。まあ、確かにあんな落ち着きのない嫌味な野郎が可愛い女の子を口説いてる姿見るなんて、面白くないわな…。

 

そんなジョーに対してリュウは「あいつ、一旦中に入ったと思えば出てきて人の話聞いてたんですねっ」と嫌味言います。いけすかない野郎だぜ、全く。

 

それにしても。リュウは、ちょっとジョーのこと苦手っぽい。硬派で落ち着いているジョーに、落ち着きのないリュウは勝てる気がしないのかもしれませんね。とにかく、リュウは女の子(=ケン)を連れてこの場を去ろうとします。

 

そんな軟派なリュウくんをみかねて、ジョーくんが一言。

 

「おい、リュウ。俺はなんでも親から与えられたもので、ぬくぬく育った奴にはわからない大事なことを知っているぜ!

 

出ました、東山氏のぜ!かっこいい…。

「知ってる」と「知ってる」。一文字違いなのにニュアンスが絶大に異なる。関西弁ではこんなにカッコよく仕上がらない。

 

そしてこのセリフを聞いた時、これまた、ジャニーさんよくこのセリフを東山氏に言わせたな、と私は頭をガンガン叩きました。

東山氏は以前にもご紹介しましたご著書『カワサキ・キッド』で幼少期の体験を詳しく述べておられます。

publications.asahi.com

舞台上で、演じているんだかありのままの自分を出してるんだかわからない状態に追い込んでしまうジャニーさん。すごいというのか、なんというのか…。

 

それはともかく、大事なことを知ってるぜ!というジョーに対して、お金持ちのボンボンであるリュウは怯みます。なぜこんなに自信がなさそうなのかは、後半徐々に明らかになっていきますが、まだここではわからない。

 

リュウは嫌味ったらしく「人のもん勝手にヌクヌク失敬する連中を集めて、一体何をすることやら」とジョー達を罵ります。この「人のもん勝手にヌクヌク失敬する連中」とは、おそらくマミーのお店に集う若者達を指していたようで。ひどい。よくこんなこと言えるわね💢と思っていたら、案の定ジョーが怒り「お前、言っていいことと悪いことあるだろ!」と殴りかかってきます。

 

そんな二人をみかねたケン(=女の子)は思わず「やめろよ、この野郎ぉ!」とジョーを投げ飛ばしてしまいます。

 

いよっ、かっちゃん!

今回もかっこいいぜ!!

 

でもこれには、ジョーもリュウもびっくり。

だって二人にはかっちゃんが女の子に見えてるんですから…。

我にかえったケンは女の子の口調で「争いは良くない」と二人に伝えます。リュウも「そうだ、争いは良くない。だからお嬢さん、僕の車で一緒にいきましょう」と言って女の子(=ケン)を半ば強引に誘い出します。

そして女の子の肩を抱いて「なんにもしないから」とニヤリ。

 

この場合の「なんにもしない」は「何かする」を意味しますよね。

ああ、怖い。怖いわ〜

一体何されるのかしら〜

 

女の子(=ケン)は、流石についていくとやばいと察知したのか、あるいはジョーのことが気になるのか。リュウの誘いを断ります。

 

でもリュウは「ずっと君のことを見ていた。これは恋かも!」などと愛を告白し始めるのです。

私なら「これは恋かも!」なんてカズキヨに言われたら、その場で鼻血を噴き出して卒倒し天国へ召されるでしょう。その場合、Againシステムを使って下界に戻れるのだろうか…。その時は誰のお体をお借りしましょうかね?なんとなくカマキリとかになりそうな気がします。

 

常識人かっちゃん、いや違った、ケンは混乱します。 

 GOD様は出会う人間の悩みを取り除き生きる意味を見つけることが使命、だと言いました。でも出会ったのは、

ぶっきらぼうで愛想のない男

②自分に恋をしているいけすかない男

 

こんな奴らの悩み取り除いたり生きる意味を見つけるって、どないしろっちゅうねん…。頭の中が混乱したのか、かっちゃんは姿を消します。

 

リュウは「この恋ってやつを二人であっためて…」(ねえ、あっためるってどうやって?)と話を続けますが、女の子(=ケン)がおらん。そして、ジョーに「女の子がいなくなったのはお前のせいだ」と八つ当たりしつつ、「お前の言う大事なものってなんなんだ?」問いかけます。「大事なもの」が気になってるのね、リュウ…。なんなんでしょうね、「大事なもの」って。

 

でも関わりたくなさそうなジョー。

 

そしてリュウは恋に落ちた男の苦悩を踊りながら歌い上げます(「君は不思議」)。

 

ここで錦織氏はメガネをシャキッと外します。その瞬間、眼光が鋭くなりスイッチ入っていきなりめちゃくちゃ「いい男」に変身します。この瞬間に心撃ち抜かれたファンは数多。この時の眼差しは「カプリッチョ」の悪魔くん魚屋カズキヨ)を彷彿とさせます。

 

私、あまりの錦織氏のかっこよさに数日このシーンをリピートしまくってました。しかしそのかっこよさをどのように言い表したら良いか考え浮かばず、すぎていく時間。

人間は、あまりにかっこ良い人を見るとそれを表現するための言葉を失うのですよ…。

  

一方、ジョー&いくアテのない若者達は、「ダーディー・ヒーロー」を歌います。この歌では、居場所のない心細さ、邪魔者にされながら生きねばならない鬱憤というか屈折が踊りで表現されます。

 

そこへリュウ&とおぼっちゃま軍団が現れます。リュウは姿を消した女の子(=ケン)を探しに、自分の仲間である裕福な家庭のボンボン達で形成されたおぼっちゃま軍団を引き連れてマミーのお店に来たのですね。

 

でも、リュウ&とおぼっちゃま軍団は若者達からは歓迎されません。

若者達はお金もないし、家族もない。だからリュウみたいに親の保護の下でヌクヌクしているいけすかないやつは一番嫌い。それで睨みつけてます。

 

小心者のリュウくんは「そんな目で見るな!そこの鉢巻!」と名指しである若者を批判しますが、その鉢巻を巻いたちょっと不良っぽい若者は、あの中村繁之さん。そう。合宿所でのカズキヨのルームメイト。二段ベットの上を下で分け合った二人ですね。ラジオもご一緒されていたんですよね。

ameblo.jp

勢いづいて止まらなくなったリュウはマミーを侮辱するようなことまで言ってしまいます。

 

おぼっちゃま軍団は、若者達に歓迎されなくて腹が立つ。お金も居場所もない若者達にバカにされて腹がたたつ。

若者達は、おぼっちゃま軍団に見下げられて腹が立つ。いけすかないやつに軽んじられて腹がたつ。

 

マミーは「友達なんだから仲良く」というけれども、ふたつの集団は相いれません。特にジョーは自分たちを支えてくれるマミーを侮辱したリュウが許せない。

 

マミーは、そんなつもりで言ったのではない、とリュウを庇います。リュウも「そうだ、そんなつもりじゃなかった。話せばわかる」と言います。それなのに、不意をついてジョーに殴りかかります。おいこらこの卑怯者!なんてことするんや💢!

 

これを契機に2つのグループは「Let’s fight」に合わせてケンカし始めます

 

この決闘のシーン。

錦織&東山の華麗なダンスが展開されながら、2つのグループに分かれてのダンス対決みたいになります。これ、絶対ジャニーさんが大好きだった「West Side Story」をモチーフにしてるでしょう。

 

それにしてもこの時のカズキヨの美しさよ…。オールバックの髪型。麻地の白いスーツ。華麗な身のこなしで舞台の隅々まで踊る姿。伸びる甘い歌声。天は二物も三物もカズキヨに与えたもうた。

この姿を見ていると、これぐらいの時期にあの名作「West Side Story」を演じていたら、どうなっていたんだろうなあ…とついつい考えてしまいます。歴史に「もしも」はないのですけれどもね…。

 

ちなみにこの「West Side Story」。スピルバーグ監督でこの冬映画化されます。

映画館で見たい。ワクワク。

www.20thcenturystudios.jp

 

その頃ケンは病室にいました。女の子はここでずっと療養していたのでしょうね。そしてケンは自分の体、すなわち女の子に語りかけます。

 

今はケンと女の子の二人で1つの命を共有してる。だから、きみがジョーに惚れた気持ちがわかる。もっと知りたい、何かをしてあげたい、という気持ちがわかるよ、と。

 

女の子は「いきたい」と言います。ケンは女の子の言葉が「ジョーのところへ行きたい」を意味するのか、と思いました。でも女の子の真意は「生きていたい」というのです。ケンは女の子に「どうやって生きていこうか、言葉にして考えてごらん。退院したら何をしたい?」と問いかけます。

 

女の子は恋をしているようでした。きっと病室の窓から、一生懸命働くジョーを見つめていたのでしょうね…。ジョーと一緒に歌ったり踊ったりしてみたいのかもしれません(でもその姿をリュウが眺めていたのですね、切ない😭)。

 

ケンは「恋はいつも」を歌いながら「恋」の難しさを女の子に伝えます。

 

そこへ、お医者さんのふりをして大天使が様子を見にきます。

 

が、このお医者さん。

額帯鏡 という耳鼻咽喉科のお医者さんの必須道具を身につけてます。

item.rakuten.co.jp

さらには聴診器も。一体何科のお医者さんなのか謎です。

 

謎の医師、じゃなかった大天使は「女の子が生きる意欲を取り戻したのでそのご褒美にGOD様がケンの体を返してくれるよ」と伝えてくれました。これで、ようやく魂も体も「ケン」に戻れます。やったー。

 

自分の体を取り戻したケンは「独り祭りの夜に」という曲の中で、人生における夢や愛の必要性を歌い上げます。

 

■ 生きる意味

間違って死んでしまい、生き返るためにGOD様から託された使命を全うしようとする中で、生きるってなんだ?と考えるケン。

いくアテがなく、未来への希望も見出せず孤独を生きるジョー。

お金持ちで恵まれているようで、でもどこか自信なさげで根っこがしっかりしてなさそうなリュウ

そして、病のために生きる意欲を失いつつもジョーへの恋心から生きたいという気持ちを取り戻していく女の子。

 

人は自分の生まれを選択することができません。気づいたら生まれていて、そして神様がもういいよ、というまで生きることになります。神様が「もういいよ」というタイミングは、ときに不条理なこともあります。それでも人は一度きりの人生を懸命に生きるもの。では、人生の意味とは何なのでしょう。大事にするものとは何なのでしょう。

 

舞台そのものは笑いもあり軽やかな歌と踊りが広がるのですが、訴えているテーマは随分と哲学的なようです。

 

でも長くなってきたので、続きはまた今度。